直腸ファイバー・S状結腸ファイバーに関して
■直腸から盲腸のところまで観る全結腸ファイバーは残っている便を全部排出しなければなりませんがこの処置がやや大変です。当日来院されても直ぐに検査することは出来ません。直腸や大腸の疾患で最も起こりやすい場所は直腸とS状結腸に多く見られます。直腸とS状結腸を検査することで8割程度の原因が判ります。浣腸処置後に検査を行うことが出来ます。
<下血原因病名>
1.直腸癌、S状結腸癌・・粘血便、時に新鮮血が特徴
2.直腸ポリープ、S状結腸ポリープ・・小さなポリープからは出血しません。1センチ以上のポリ ープがあれば出血の可能性があります。新鮮血、粘血便が特徴
3.S状結腸憩室症・・腸の壁にある筋肉が弱り裂け目が出来るため、内側にある粘膜が腸の外側に 張り出した凹みです。その凹みに便が溜まる事で固まり、山羊の糞の様に小さなコロコロ便が出 るのが特徴です。新鮮血、凝血塊、粘血便が特徴です。
4.潰瘍性大腸炎・・難治性の炎症性腸炎、特定疾患に認定されています。好発年齢は17歳前後、 30歳前後、40歳前後、高齢者発症型があります。粘血便が特徴です。
※大きな原因としては上記した病名ですが、痔の病状がある場合、内痔核、切れ痔もあります。特に内痔核は痛みが少ないため下血が見られると驚く方が多いものです。下血のほとんどが新鮮血で便器にパット飛び散るような感じで下血します。内痔核はS状結腸ファイバーで容易に診断が出来ます。恥ずかしい肛門科のような内診の必要はありません。
直腸ファイバー・S状結腸ファイバー検査は全結腸ファイバーに比べ楽です。浣腸処置後便が無いところまで観察が可能です。病変の80%がここに集中していますので検査の価値は十分にあるでしょう。